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日本酒造り体験ツアー
レポート

今年2月、京都・伏見を舞台にル・コルドン・ブルー初の日本酒造り体験ツアーが行われました。共催は日本を代表する老舗酒造・月桂冠。月桂冠の杜氏である相川元庸氏と唎酒師のセバスチャン・ルモアンヌ氏が講師を務めました。このツアーの様子をレポートします。

しんと底冷えのする冬の京都、一行が訪れたのは月桂冠大倉記念館です。一帯は、伏見城の外堀だった濠川沿いに白壁土蔵が並び、酒どころ・伏見を象徴する風情ある景観。その中心にたたずむ月桂冠大倉記念館は明治時代に建造された酒蔵を改装したもので、現在では伏見の酒造りと月桂冠の歴史を伝える博物館となっています。この建物の中庭に面した内蔵では、今も昔ながらの方法で日本酒の醸造が行われ、寒造りがピークとなる冬季には醸される酒の香りがあたりに漂います。

今回、参加者はこの内蔵で2日間にわたる醸造体験を行いました。
実際に体験した酒蔵での一日の様子をご紹介しましょう。まず、神棚に祈るところから、酒造りの朝は始まります。

最初の工程として、数キロ単位の米を手で洗い、適量の水分を含ませるために水に浸します。すぐに吸水してしまうため、秒単位で計りながらの作業。「寒造り」というだけに、伝統的な醸造は厳しい寒さの中で行われるため、水の冷たさに手の感覚もなくなりそうです。

次は、洗った米を甑(こしき)で蒸します。米が蒸し上がると、あたりにはフワッと米の匂いが立ち込めます。この蒸米に米麹、そして伏見の名水を混ぜ込んで「もろみ」を仕込むのです。すべての作業は目で見て、手で触って、感触を確かめながら進められます。

仕込みは4日間かけて行われますが、今回はこの3日目と4日目の作業を体験しました。すでに1日目、2日目と仕込んであった「もろみ」がプツプツと気泡を出して待っています。タンクに仕込水、麹、米の順に投入し、櫂を使って混ぜるのですが、回を重ねるごとに米の量が増えていき、蒸米は水を吸って固体状となるため、4日目ともなると櫂が重くなり動かすのも一苦労。そのずっしりとした重みを全身に感じながら、仕込んでいくのです。

日本酒造りでは、使ったものをすぐに煮沸消毒していかないと菌が繁殖してしまいます。そのため、掃除も大事な仕事のひとつで、時間をかけて行われます。漉したり、搾ったりと大量に使われる布がきれいに洗って干されている風景も、酒蔵の名物といえるでしょう。

内蔵での体験に続き、大手蔵も見学しました。大手蔵では、手作業で行われるのと同じ醸造工程が機械によって行われています。手作業であれ、機械を利用したものであれ、酒造りの内容は一緒。杜氏や蔵人の心がそこには宿っています。

さらに日本酒についての講義やきき酒の体験、記念館の見学なども行い、多角的に日本酒への理解を深めました。

夜にはお楽しみのペアリングディナー。月桂冠の日本酒5種に合わせたお料理がLa Famille Morinaga(フランス料理)と嵐亭(日本料理)で提供されました。どんな取り合わせにするか、それぞれのレストランに特徴と工夫があり、シェフやきき酒師・ソムリエからの説明や、相川杜氏のコメントに耳を傾けつつ、素晴らしいお料理と日本酒に舌鼓を打ちました。

ツアー参加者はこの2日間に仕込んだ日本酒を受け取ることができます。自分の手で仕込んだ日本酒は、いったいどんな味がするのでしょうか。

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ガストロノミーの世界で輝く女性たち

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若手の料理ジャーナリストであったマルト・ディステルを中心に1895年にパリで開校して以来、ル・コルドン・ブルーは「優秀を極めること」を理念に、伝統を継承しつつ料理の世界に革新を起こし次世代の育成に貢献してきました。

タラのロースト、ハーブのニョッキ、ハマグリ、パセリとガーリックのソース

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タラはフライパンで調理する前に塩漬けをしておきます。そうすることにより、身が引き締まり、そして風味を引き出すことができます。タラがメインであるこの一皿は、ハーブのニョッキ、ハマグリとシーアスパラガス、そして伝統的なソースを添えることによって完成します。

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