ジャパニーズスイーツの要、餡
「12年ぐらい前でしょうか。まだ日本に住む前、旅行で訪れた際に初めて"餡"を口にして、非常に驚きました。フランスでは豆を砂糖で甘く煮るということはまずしませんから。食感も不思議でした」
テーブルいっぱいに並んだ料理はどれも美味しそう。食卓を囲む人々の楽しげな笑い声や良い匂いまで伝わってくるような表紙に心惹かれるレシピ本「OMOTENASHI four Seasons ―糠澤佐知子の四季のおもてなし―」。この本の著者が、料理家であり、「KITCHENETTE SACHI」主宰である糠澤佐知子さん。2001年に菓子ディプロム、2003年に料理ディプロムを取得した卒業生です。
還暦を目前にル・コルドン・ブルーで学んだ糠澤さん。独身時代には西洋料理を日本に紹介した料理研究家の草分けである飯田深雪氏に師事し、そのスタジオに勤務した経験もあります。結婚後も様々な分野の教室に通って技術を身につけ、自宅で料理教室を開いていましたが、改めてフランス菓子の基本を学びたいと当時開校したばかりの横浜校に入学します。ル・コルドン・ブルーでの学びがとても楽しく勉強になったため、引き続き東京校で料理講座にも通い、グラン・ディプロムを取得しました。【料理講座 上級試験の課題作品(下)】
当時、最年長の生徒だったと笑う糠澤さんですが、教える側から生徒の立場になり、一流のシェフの技と味を体験できたことはもちろん、自分の技量が自覚できたことは収穫だったと振り返ります。上級に行くに従って、感性の大切さ、料理にも菓子にも個性が現れるということも実感しました。
レシピブックの出版はそんな糠澤さんの長年の夢だったと言います。ル・コルドン・ブルーでの学びに加え、自身の教室で教えてきた多彩な得意レシピをまとめた美しい本が2019年に形になりました。76の彩り豊かなレシピにエッセイも添えて、表紙の印象そのままに読む人すべてを豊饒な食の世界へと誘います。糠澤さんの料理に対する思い、食をめぐって家族や友人と築いてきた温かな歴史までがこの一冊には込められているのです。
Q. ル・コルドン・ブルーを選んでよかったことは?
家庭ではなかなか扱えない素材の調理法を学べたこと。学校なので採点や試験もあり緊張感がありましたが、好きなことを学ぶことができ、思い切って入学してよかったです。年齢も仕事も違ういろいろな分野の方々とお友達になれたことは私にとって宝物です。
Q. ル・コルドン・ブルーでの経験が今の仕事にどう活かされていますか?
丁寧な下処理がいかに大切で仕上がりに関係するかを実感しました。ガルニチュールの美味しさでメイン料理 がいかに引き立つかを学び、出来る範囲で日々の食事にも活かしています。
Q. これからル・コルドン・ブルーで学ぼうと思っている人へメッセージをお願いします
食べることが好きでしたら、一流のシェフから学べてよいと思います。卒業してすぐその道で生活するのは難しいかもしれませんが、どんなに苦しい時でも好きな道であれば、学んだことが必ずプラスになると思います。私は食べていただく方を思い浮かべて料理し、美味しいと言ってもらえることが何よりも幸せに思います。美味しいものを食べるとどなたも笑顔になります。
2020/03/17
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